【綾瀬はるかさんインタビュー】「悩み、迷い、自信を失った時期を経て、自分らしい自分にやっと戻ってこられた。今の私は"むきたて卵ちゃん"なんです(笑)」
▶自分は世界で一番幸せだと、教えてくれた母の言葉 「10代や20代前半、今よりも若い頃、私は"自分が世界で一番幸せだ"と思って生きていたんです。自然豊かな田舎でほのぼのと家族に愛されて育ったからでしょうか、あの頃の私の中には"邪"がなくて。純粋でまっすぐで健やかな自分のこともすごく好きでした」 無邪気に自由に人生を楽しんでいた綾瀬さんですが、30代が見えてきた頃、彼女を取り巻く環境は少しずつ変化していったそうです。 「自分も大人になることを意識するようになるし。ああしたほうがいい、こうしたほうがいいって、周りからもたくさんの助言が届くように。それを素直に聞きすぎてしまったんでしょうね。何が正解なのかわからなくなって……。自分に自信を持てなくなってしまった時期も実はあったんです」 他人の意見に耳を傾けすぎると自分の答えが見えなくなる、うまくいかないときに誰かのせいにしてしまう。「このままじゃダメだ」と思ったとき、思い出したのがお母様の言葉だったそうです。 「自分が一番幸せだと信じて疑わなかった時代、母がよく言ってくれたんです。"それは正解だよ。隣の芝生が青く見えることがあっても、そう思える自分がいるなら大丈夫だ"って。その言葉を聞くたびに気持ちが前を向いた。だからね、大人になってからもう一度、母に聞いてみたんです。私は世界で一番幸せなんだよねって。そしたら、返ってきたのは昔と同じ言葉で……。それを思い出したら心をおおっていたモヤモヤがツルンとはがれ落ちた。自分の大切なものがまた見えてきた。最近の私を表現するなら"むきたて卵ちゃん"(笑)。ぐるっと一周回って元に戻ってきたような感覚なんです」
▶向き合う"術(すべ)"を手に入れて仕事も人生も「自分らしく」 綾瀬さんはいつでも、どこでも、誰に対しても、常に自然体です。 「自分を作ったり装ったりするのは居心地が悪いし、なんだか恥ずかしくて苦手なんです。カッコつけることができなくて、思わず変なことを口走ってしまい落ち込むこともあるのですが、最近はもう"仕方ない、これが私だ"と考えるようになりました(笑)」 そんな飾らない姿も魅力のひとつですが、共演者やスタッフから何より愛されているのが、作品に全力を注ぐ綾瀬さんの真摯な姿勢です。今回のインタビューでも仕事の話題になると「中途半端は好きではなくて。命と時間を削って向き合う覚悟でおもしろい作品を作りたいと思うんです」「本当に超えたいんです、自分自身を超えて役になりたいんです」なんて、まっすぐな言葉が次々と飛び出しました。そんな綾瀬さんの最新出演作が映画『リボルバー・リリー』。豪華な共演者に囲まれ、主役の小曾根百合を演じています。 「今も昔も変わらず、撮影の前はいつだって不安だし緊張します。セリフを覚えたか心配になって、夜中に何度も起きては台本を確認してしまうこともあったりして。今作でもプレッシャーをズンッと感じる瞬間が何度もありましたが、そういうときは"周りを気にするな、欲張りになるな、楽しんで演じろ"と自分に言い聞かせてリラックス。緊張の回避方法は少しずつ身についてきた気がします」 仕事も人生も、経験を積み重ねながら"術"を手に入れ「より自分らしく楽しめるようになっているのを感じています」と微笑む、綾瀬さんに最後に聞いてみました。「あなたにとっての幸せって?」 「今この瞬間の喜びに目を向けることなんだと思います。例えば、どんな幸せな状況でもネガティブな出来事に心を奪われていたらそれを感じることはできない。幸せになれるか不幸せになるか、それは自分の心の置き場所次第で。だからこそ、心がネガティブな旅に出たときは今いる場所に戻るよう意識。過去でも未来でもなく今この瞬間、目の前のごはんを食べて"おいしい!!"と幸せになれる自分でありたいなって思うんです」