https://news.dwango.jp/moviestage/52162-2007
デビュー10周年目前の山崎紘菜が語る、映像の魔術師・大林宣彦監督は「私の中での誇り」
今年4月10日に他界した大林宣彦監督は、最後の最後まで"映像の魔術師"だった。2012年の映画『この空の花 長岡花火物語』から遺作となった映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(7月31日公開)までの計4作品に出演した女優の山崎紘菜が、享年82歳の映画少年との思い出を語る。
「大きくなったね」「身長が伸びたね」「立派な女性になりましたね」。大林監督とは女優デビューしたばかりの16歳の頃からの付き合い。撮影現場で再会するたびに成長を口にしてくれた。「大林監督とは10代のころからのお付き合いですから、まるで娘のように見守ってくれていました。色々な俳優の方から『毎回作品に呼んでもらえるのは羨ましい』と言われることが多くて、それは私の中での誇りでもあります」と大林組の一員としての自負がある。
大林監督にとっては、すでに余命宣告を受けての『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の撮影だったが「映画好きの少年のような瞳で常に現場にいらっしゃって、映画に対して純粋なまでの愛情を持たれていました。撮影で疲れたときにふと大林監督を見ると、誰よりも生き生きとしていて若々しい。『死んだら沢山寝るんですから、生きているときは寝なくてもよい』とおっしゃっているくらいお元気でした」と巨匠の衰えぬ力強いエネルギーを目の当たりにした。
完成作品の上映時間は2時間59分と長尺だが、それを感じさせない凄まじいテンションはまさに"大林印"。撮影スタイルも大林イズムに満ち溢れるものだった。「撮影と並行してセリフやシーンが追加されるのはいつものこと。アイデアが閃くと大林監督は現場の隅で自分の台本に書き加えて、私たちはそれをその場で見せてもらって覚えて演じる。湧き出るアイデアにどれだけ食らいつき、イメージ通りのものを体現できるか。試されているようで責任重大。まさに唯一無二の現場です」。作品同様に実験精神あふれる映画作りの場だった。
ミュージカルにアクションにメロドラマに時代劇……本作は、ジャンルを縦横無尽に駆け抜ける。「ミュージカル、方言を使った役、殺陣…。すべて女優として挑戦してみたいと前々から思っていたことで、夢が全部叶いました。まさか1本の作品で叶うとは…」と笑いつつ「大林監督は最後に私の夢をすべて叶えてくれたんです」と故人を悼む。
0 件のコメント:
コメントを投稿